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「大地窯作品展」を終えて
猛暑と梅雨寒が続きますが、皆様いかがお過ごしですか。
さて、6月30日をもちまして「大地窯作品展」が無事終了いたしました。
ご来場いただきました皆様おかれましては、わざわざ足をお運びいただき、
感謝申し上げます。
ご来場いただけなかった方にも会場の様子を少しお伝えできればと思い、
ヴェロニカさんの「大地窯作品展」に寄せたメッセージと会場写真をご紹介したいと思います。

「大地窯作品展」に寄せて(6月17日山梨の自宅にて)

 2011年3月11日に、東日本大震災とそれに伴う原発事故が起こりました。
津波によって多くの命や、景観が失われ、特定のエリアには人が立ち入る
ことが出来なくなりました。震災に直面し、これまで当たり前のようにあった
自然、いつも私の身近にあった「野の花」も、当たり前の存在ではなくなって
いってしまうかのような印象を持ちました。草花が呼吸を止めてしまった大地。
日本では、今も各地で原子力発電所が稼働しています。
 私はこの破れた島、ところどころ穴が開いたような島を、焼き物で何とか作り
たいと考えました。そしていつものように、窯焚きに取り組んだのです。しかし
この試みは、結果として技術的になかなかうまくは出来ず、作ろうとした作品は
窯の中でほとんど溶けてしまいました。そんな中、不思議なことですが、窯焚き
の火の力で、いくつかの一輪挿しと、私が表現したかった不穏なイメージを感じ
させるような作品が、残りました。これは火が実現してくれたことでした。
 
 これまで作品展を行うと、その売り上げの5%を森の再生の支援のために寄付し
ていました。しかし今回の作品展では、震災によって親を失った子どもたちのため
に、売上の5%を支援したいと思います。

 窯焚きは1年に1回行いますが、毎回失敗するところがあり、そこから何らかの学
びのプロセスがあります。今回は窯に入れた作品の3分の2が溶けてなくなってしまい、
3分の1しか使える焼き物が残りませんでしたが、棚頭の土と白州の土、どちらの土の
作品もこれまでに無い新鮮な表情を見せてくれています。今までで、一番良い色が出て、
灰かぶりもとても美しいです。
 棚頭の土色はとても渋くて、失敗を続けながらこの色を追求してきました。あまり強
めても、特徴が無くなってしまうのです。
 白州の土色は薄めの色ですが、窯の中に配置する場所によって焼き色の変化を見せて
くれたり、これまでになく珍しい焼き加減で実現されたりしました。
 窯焚きは、このように毎回、毎回新しい出会いがあり、焼き物ひとつひとつ違う表情
を見せてくれます。窯からの大きなプレゼントです。わたしはこの贈りものに、いつも
感謝の気持ちを持っています。
 皆さまにもそんな作品たちとの出会いを、体験して頂けたら嬉しく思います。


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原発とそこから逃げる子どもたちを表現したオブジェ。来場者の方々に震災を忘れ
ないようにと、子どもたちの人形を1つ持ち帰っていただきました。
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今までの大地窯の器とはまったく違う新しい色合いの器でした。
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会場の様子。

by masa
# by oochigama | 2013-07-27 00:19 | 展覧会のお知らせ
「大地窯作品展」のお知らせ
曇り空の続く今日この頃、皆様いかがお過ごしでしょうか。

さて、大地窯では前回予告しましたとおり、今月末に展覧会を開催いたします。

今回の窯焚きの現場にはお邪魔できませんでしたが、多くの教訓を今後に残す
ものであったとともに、これまでに出来なかったものも作り出せたとヴェロニカ
さんからお話を伺いました。
今回の展覧会は前回の2010年の展覧会から3年ぶりとなります。
大地窯の器がどう進化したか、ぜひ会場へ足をお運びいただきご覧いただければ
幸いです。皆様のご来場をお待ちしております。

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「大地窯作品展」

2013.6.21(金)― 6.30(日)
11:00am―7:00pm (月曜定休)
※会期中午後はヴェロニカ・シュトラッサー在廊予定
「大地窯作品展」のお知らせ_c0150665_22453256.jpg


会場:「LIBRE」
〒113−0031
東京都文京区根津2-29-4
(東京メトロ千代田線根津駅より徒歩5分)
tel.03-3827-1925
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〈会場外観写真〉
by masa
# by oochigama | 2013-06-11 22:48 | 展覧会のお知らせ
窯焚きと展覧会
4月に入っても寒暖の差が厳しく、ようやく暖かく春めいてきました。
みなさまいかがおすごしでしょうか。
4月に入る少し前にヴェロニカさん宅へお邪魔する機会がありました。
そこで、窯焚きと展覧会のことを伺ったのでお知らせします。
窯焚きは5月14日~20日、展覧会は6月21日~6月30日の間、根津のLIBREさん
で開催予定です。

お話を大地窯の森林の前でお茶をいただきながら伺いました。
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あれから2年経ち、木々もだいぶ成長してきました。
震災からの月日を思い出させます。
窯焚きと展覧会_c0150665_20243285.jpg

また詳細が分かりましたらお知らせします。

by masa
# by oochigama | 2013-04-16 00:33 | 催しのお知らせ
お知らせ
みなさまご無沙汰しております。
外は徐々に春めいてまいりましたが、いかがお過ごしでしょうか。
さて、大地窯では長らくHPとblogを運営してまいりましたが、
HPを廃止して、blogへ内容を移行させることにしました。
お知らせが遅れてしまいましたことをお詫びいたします。
今後ともよろしくお願い申し上げます。
お知らせ_c0150665_2248492.jpg

# by oochigama | 2013-03-07 22:48 | 活動コラム
大地窯の森林について
こんばんは。
めっきり寒くなりましたが、皆さまご体調崩さずにお過ごしでしょうか。
部屋を掃除していたら、おととしの展覧会で使用したヴェロニカさんがお書きになった
「大地窯の森林」の文章が出てきました。ここにご紹介したいと思います。

 人と木の関係を思い出すと、だいたいの人が木にまつわるエピソードをもっている
ものです。それは、旅先でみた木や幼い頃遊んだ木かもしれません。木は人にとって
は兄のような、人同士の関係とはまた異なる特殊な関係にあると思います。
 私が日本に来て最初に住んだのが駒場東大前です。大家さんのお家の大きな庭にあ
る小屋に住んでいました。庭にある木は梅からもみじまで、日本の木々がすべて揃っ
ていてそこにはガマや蛇が住み着いていて都会のオアシスでした。しかし、庭にビル
が建設されることになり、私は立ち退くことになりました。私は家を立ち退くことは
あまり悲しいことだとは思いませんでした。ただ、木々が切り倒されることに深い悲
しみを感じました。
 次に私は北鎌倉に住みました。周りには立派な庭のある古い木造の家が私の住んで
いる周りにはたくさんありました。しかし、東京と同じように家は取り壊され、木が
伐採され次々とビルが建っていきました。私は逃げるように四方津へ移り住みました。
 四方津に来たのは山が急で、人間が開発することができないと考えたからです。
しかし、小高い山は削られ平らにされニュータウン開発が進みました。そして、私は
棚頭へ移り住みました。日本の山は戦後に植樹された人工林で覆い尽くされていたこ
とは知っていましたが、棚頭で何年もの間、毎日土掘りや山歩きをして自然の中で暮
らすことで、だんだんと体で植林の影響から自然のバランスが崩れているということ
がわかりました。この棚頭一帯はその昔、薬となる貴重な植物が生い茂っていて、神
社とお寺で研究をしていたようです。そうした貴重な植物も失ってしまいました。
 こうした現状を何とかしようと私はまず第一歩として自宅の周りを雑木林にしたい
と考えました。そして、雑木林を作るため湯呑の売り上げの一部を雑木林作りに使い
たいと考えました。なぜ湯呑かといえば、焼き締めの湯呑でお茶を飲むと茶の香りと
土の香りがよく合い、私たちに平和を運び、自然に目を向ける時間をくれるからです。
私はこの小さなプロジェクトを「大地窯の森林」と名付けました。プロジェクトは森
づくりに固まらないで芸術、人間の治療、子供たちの遊び場づくりなどを含めた活動
につなげていきたいと考えています。


この1年後に大地窯の森林は第一歩を踏み出しました。
雑木林になる日もそう遠くないでしょう。
大地窯の森林について_c0150665_0104935.jpg


by masa
# by oochigama | 2012-11-09 00:13 | おもいで話