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本焼きの窯出し
こんにちは!
アシスタントのsaiです。
前回まで3本立てでshootさんが窯焚きの記録を投稿してくれました。
はてさてその必死に焚いた窯の中は一体どうなっているのでしょうか?
気になる窯出しが先日行われましたのでご報告いたします。

と、その前にランチタイム!ということで実際に当日食した
トマトと野菜たっぷり煮込みソースのパスタです。

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ポイントはトマトの皮を湯むきすることです。甘くなりますよ〜

それではいよいよ窯出しです!

その日は写真家のコエチさんと息子のメイ君も来てくれました。
窯の中の温度は50度です。まずは3部屋ある登り窯のうちの2部屋目の蓋を開けます。高く積んだ器を載せた棚が崩れていなくて一安心・・。
今回は新作に加え前回の窯焚きで一度焼いたものを再び焼く、2度焼きの焼き締めの器も多くありました。そうした器たちはどれも良質な焼き締めの器になりました。
一番目の部屋は楽しみにしていた花瓶が割れてしまっていたり、残念なものもありましたが、予想以上にすてきな灰かぶりの花瓶が出来たりもしました。

前回の窯焚きの作品に比べ、今回の作品は品がよく、
より端正な雰囲気を醸し出しています。
また優しく、女性的な感じでもあります。
昨年は釉薬の器があまり上手くいきませんでしたが、
今回は大きな失敗はなかったと思います。ただ登り窯で希望の釉薬の色をだすのは難しく、今後も試行錯誤が必要だと思われます。
そして今回は、作品の形態も湯呑みやお椀などの日常づかいの器が多くを占めています。また、今までにないほど薄く軽くできています。とくに湯呑みは空気のようにふわっと軽いです!
たぶん、この薄さが使用している棚頭の土の限界ではないかと思われます。

このような器たちを、ぜひぜひ多くの人に使ってもらえたらなぁと思います。
素朴ではございますが、料理が映え、和洋中なんでも合います。
晩秋の頃に東京で展示会を行う予定ですので、みなさまどうぞ足をお運び下さい!
細かい日程が決まりましたら、また改めて報告させていただきます。

by sai
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by oochigama | 2008-09-16 20:06 | 活動コラム
本焼き ~急~
本焼きの日程も最終日を迎え、残すところ十数時間。
あとは今の温度を維持しつつ、器たちが焼きあがるのを待つのみとなりました。

温度が上がるにつれて、炎の色は橙から黄、さらに白黄へと変化していき
窯の口を塞いでいる鉄板を開けても、すでに窯の中の様子を窺い知ることは出来ません。

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しかし、熱と光に満たされた窯の中からは、何か新しい物が生まれようとするときの、
強烈な力や変化の兆しを確かに感じました。

午前4時を目前に、ここまで飲み物の補給や身の回りのお世話をしてくださっていた
先述のsaiさんが、朝からのお仕事の関係でお母さんとともに戦線離脱。

最大級の感謝をしつつ二人を送り出し、ここからが正念場、
なんとかうまく最後まで乗り切るぞと気合を入れなおした矢先。
今回の本焼きにおける最後にして最大の問題が発生しました。

これまで安定していた窯の温度が俄かに上昇し始めたのです。
薪の投入量を控えても温度はグングン上がっていきます。
1250、1255、1265、そしてついに1270℃をオーバー。

さらに悪いことに、ここにきてマツの残量が不足してくるというアクシデントが起きました。
火力を安定させるため、多めにマツを使ってきた結果、予想より早く薪置き場の底が
見え始めたのです。

このような進退窮まる状況で、「マツの確保を最優先させて、これからソロを混ぜて様子を見ましょう」とヴェロニカさんは打開策を打ち出します。ある程度の火力を維持しなければいけない今の状況で、ソロの木を使うのはあまり良くないのですが、背に腹は換えられないという苦肉の策でした。

が、このやり方が功を奏し、炎の大きさを維持しつつみるみる温度は下降。
1220℃付近で安定しだしました。

この難所を抜けたあとは至って順調。さしたる問題も起こらず時間が過ぎてきます。
温度が安定してきた頃合を見計らって、昨夜から応援に来てくれていたカメラマンのコエチ光彦さんも仕事の都合で離脱。こういう時、一人でも多く人がいると心強くなるということを実感します。

最後の工程として、灰を作品にかけて表面に模様を出すため、大量の薪を一気にくべる作業がありました。最後の仕上げとばかりにみんなで薪を勢いよく投げ入れます。

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そして最後の最後、窯が急激に冷えないように、空気が入りそうな穴をすべて専用の土で塞いでしまい、予定よりかなり早い9月9日午後4時45分、本焼きの工程がすべて終了。

これから一週間かけてじっくり窯を冷やしていきます。
それが終わり窯出しをするその時まで、中の作品がどうなっているかは誰もわかりません。

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しかしヴェロニカさんは言います。「今回は昨年の窯焚きにくらべ、天候、薪の状態、スタッフの人数、すべてにおいて勝っていた。このことは本当に運のいいことです」

本当に大変で、肉体的・精神的に疲弊しきった3日間でしたが、それを補ってありあまる充実感と達成感を得られた3日間でもありました。

あと一週間。沢山のものの手によって命を吹き込まれ、新たに生み出された作品が出てきてくれることを祈るばかりです。

by shoot
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by oochigama | 2008-09-12 00:56 | 活動コラム
本焼き ~破~
本焼きも2日目に入り、窯焚きの作業にもリズムが出てきました。
役割・休憩の交代もスムーズにいくようになり、窯の温度も順調に上がっていきます。
このまま無事に1200℃まで到達するのを祈るばかり。

しかしこのようにうまく作業が進んでいるのは、陰からのバックアップがあってのこと
だということを言っておかなければなりません。

たびたびこのブログに記事を書いているアシスタントのsaiさんが、
今回朝昼晩の3食を作ってくれたり、休憩の時の準備をしてくださっています。

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毎食栄養のバランスを考えて作られており、普通極度の疲労状態の時はなかなか食欲が出なくなるものですが、そんな状態でもすっと喉を通るようなメニューばかり。
味もしっかりしていて、本当に元気が出ます。
夕方からはsaiさんのお母さんも駆けつけてくれて、料理のボリュームもさらにアップ。

まさに及慈雨、恵みの雨のような存在で、saiさんのサポートが無ければ
誰一人この過酷な作業を続けることは出来なかったと言っても過言ではありません。

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また、近くで林業を営むFさんも手伝いに駆けつけてくれました。

Fさんは、薪を細かく割ってよく燃えるように大きさを調整してくださったのですが、
私がどんなに頑張って斧で叩いても割れない薪を、いとも簡単に真っ二つにしてしまいます。細かい薪を作ってくださったお陰で、温度の調整がかなり楽になりました。

このような強力な援護のお陰で、じわじわ窯の温度は上がっていき、
ソロの木からマツに切り替えてから約19時間経過した9月8日午前1時。
果たして1200℃に到達。

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この温度になると、窯の口を遮っている鉄板は熱で真っ赤に変色し、窯の周りは熱風がうずまく高温地帯になっています。

しかしヴェロニカさんはひるむことなく薪を窯口へ投げ入れ、
じっと炎の色を窺っていました。

そしていよいよ本焼きも佳境。高温を維持して最後の仕上げに入ります。


by shoot
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by oochigama | 2008-09-11 01:21 | 活動コラム
本焼き ~序~
こんにちは。本焼きを行うということで、東京から招喚されたshootです。

陶器製作の過程もいよいよ大詰め。
ヴェロニカさん以下窯焚きスタッフ一同、9月6日以降3日間のタイムスケジュール
を確認して、午後5時、本格的な窯焚き作業が開始されました。

一番最初に全員で木材を一本ずつ窯の中に投入し、今回の窯焚きの成功を祈願。
窯焚きがうまくいきますように…。

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今回使用する木材はソロの木とマツ。まずはソロの木を使い、
6日の午後5時から7日の早朝6時にかけて、600℃を目安として
漸次温度を上げていきます。

この大量の木材を燃料にし、窯は自らの体の中を燃やして陶器に命を吹き込んでいく。
そう思うと、この窯も私達チームの一員なんだなぁという気持ちになってきます。

作業は昼夜を問わず続くので、交互に休憩をとりながら
窯の温度を調整していくわけですが、仮眠をとり終わって交代してみると
寝る前に比べて窯の温度や状況が著しく変化していて、交代後うまく温度を上げられなかったり逆に温度を下げてしまったりと、引継ぎ時がなかなかうまくいかないという状況が出てきました。

ここが、複数人で窯焚きをする上で最も難しい部分の一つで、
「温度調整がうまくいっている時は、なるべく薪をくべる人を代えたくない。
だけど人間がやっている以上、長時間休まずに続けるのは難しい」
とヴェロニカさんは話します。

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暁を知らせる鶏鳴の聞こえ始めた午前4時。
400℃を境に、どうしても窯の温度が上がらなくなってしまいました。
今までと同じようにやってたのにどうして…。

しかしながら「ちょっと早いけどマツを使い始めましょう」というヴェロニカさんの機転により、私が仮眠を終えた午前8時すぎには無事600℃を越えていました。
マツはソロに比べて脂分が多く、火力が上がりやすいのです。

常に流動的な窯の状態に合わせて臨機応変な対応をすることこそ、
窯焚き成功には不可欠なことなんだなと実感する出来事でした。

でもこれで第一関門は突破。
薪置き場の上から見守ってくれていたヒメちゃんもホッと一安心。

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次は、さらに丸一日をかけて1250℃付近まで温度を上げていきます。
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by oochigama | 2008-09-10 02:02 | 活動コラム