カテゴリ:やきもの講座( 4 )
焼き締めのお手入れ
早いものでもう10月。
小菊や藤袴、ツリバナなど様々な実物が見られ
秋の始まりを感じるこの頃ですね。

前回のmasaさんのスイス大使館訪の件からちょっとコーヒーブレイクし、
今回は大地窯の器に多い、焼き締めのお手入れについて、簡単にお伝えしようと思います。

・ご購入後すぐ

焼き締めは土の粒子が粗く、施釉もされていないため水漏れすることがあります。
そのため使用前に、大きな鍋などに器を入れ、
水を張り、小麦粉やお米を入れて沸騰させます。
そうすることで、器面がコーティングされ水漏れしなくなります。
また、焼き締めだけでなく、白っぽい器(志野など)も汚れが目立ちやすいため、
同様の処理をすることをお勧めします。


・洗い方

焼き締めは表面がざらついているため
タワシてゴシゴシ洗って汚れを落とします。
そしたら布巾で水分を拭き取り、乾燥してから食器棚にしまいます。
汚れや水分が残ったままの状態が続くとカビの原因になります。

ささいなことですが、このようなことに留意して、
長く器とお付き合いしていきたいですね。


ところで、現代焼き物作家事情に精通している、日野明子さんは
著書「うつわの手帖」の中で、

『時々思いのほか水を吸い込んでびっくりすることがあります。
「器を育てる」といいますが、つくづく焼き物って生き物だなぁと思います。』

と語っています。

本当に、日々の暮らしの中で器は様々なものを吸収し、
少しづつ変化していってるように感じられます。
器が健やかに育ちますよう、おいしいお茶をいれたり、
きれいな花を活けたいものですね。

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by oochigama | 2009-10-02 08:59 | やきもの講座
大地窯へのルーツ その3
もう気がつけば年末です。師走の真っただ中皆さんにおかれましてはいかがお過ごしでしょうか。当blogも様々な方々にご協力いただき1周年を迎えることができました。さらにアクセス数もおかげさまで2000ヒットを突破し、3000ヒットに手が届きそうな状況にあります。
感謝申し上げるとともに今後ともご贔屓賜りますようお願い申し上げます。

さて、長らく更新しておりませんでした「大地窯へのルーツ」について少しお話をさせていただきます。今回が一応の最終回です・・・。
前回は土師器・須恵器のお話をさせていただきました。今回は陶器の出現と大地窯の作品
から考えたことについてお話いたします。

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須恵器にも釉薬が掛ったようなものが見られますが、これは自然釉というもので、窯内でかぶった灰が溶け形成されたものです。平安時代初期にこれを人工的に行うようになります。これを灰釉(かいゆう)陶器と呼びます。愛知県の猿投(さなげ)窯から多く確認されています。
灰釉陶器が現れた頃、大陸や半島から緑・褐・白の3色でいろどられた唐三彩、緑釉陶器の製作技法が日本に伝播します。これらを模倣し奈良三彩や緑釉陶器が作られるようになります。

それらの製作技法を継いだ陶器が中世に入ると各地で作られるようになります。
それら窯を日本六古窯と呼びます(瀬戸・常滑・越前・信楽 ・丹波・備前)。
現在も陶器の産地と知られるところばかりです。陶器は近世に入るとさらに多様化
し、現在に至ります。

さて、大地窯のある上野原でもこういった陶器が遺跡から確認されています。
しかし、須恵器や灰釉陶器は主に静岡の湖西や東京の南多摩産の
ものに頼っており、地元で焼いて作ったというものはほとんどみあたりません。
なぜだろうと長年不思議に思っていました。

が、大地窯の粘土が一つヒントを与えてくれました。
大地窯の粘土は棚頭の粘土と白州の土を混ぜて作っています。棚頭の土だけでは
焼けないのでしょうか。棚頭の粘土は耐火度の低い青粘土と呼ばれるものだそうです。
つまり、それだけで陶器を作ろうとすると耐火度が低く溶けてしまうのです。
そこで、風化花崗岩などカオリンを含んだ土を粘土に混ぜ耐火度を確保します。
いわゆる「がいろめ粘土」です。
このことから考えると古代においては耐火度の低い粘土のせいで須恵器や灰釉
陶器を作り得なった可能性も考えられます(交易の問題など他に要因はたくさんあると思
いますが・・・)。

こんなことを想像しながらしげしげとヴェロニカさんの陶器を眺めていると上野原の古代人のうらやむ声が聞こえてきそうでした。

by masa
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by oochigama | 2008-12-20 21:06 | やきもの講座
大地窯へのルーツ その2
 全国で大雨が降りましたね。こちらは午後からお日様が出て暑いくらいでした。
ところで、当ブログの閲覧者数が600hitを超えました。大勢の方に
ご覧になっていただいて大変嬉しく思います。感謝申し上げます。

 さて、前回からやきもについて少しお話させていただきました。本日は第2弾
ということで、土器の焼き方の違いについて少しお話をしたいと思います。
古代において素焼きの土器である土師器とそうでない須恵器があるということ
でしたが、両者の焼き方の違いはどのようなものでしょうか。

 まず、素焼きの土師器ですが表面がオレンジから肌色をしています。また、もろ
いものが多いです。素焼きの土器は皆さんもよくご覧になっていると思いますので
、イメージが湧くと思います。これに対して須恵器は灰色をして硬質です。この色
と硬さの違いは焼成の何が要因なのでしょうか。
 その答えは窯焼きの際の酸素量と温度にあります。土師器などの素焼きの土器は
地面に穴を掘り、その中に土器を並べて藁などをくべ火をつけて燃やしました。いわゆ
る野焼きです。酸素が充実した状態で焼いて、温度は800度程度です。全国的に例
は少ないのですが、土師器焼成遺構というものが遺跡から確認されています。
 酸素が充実しているということは、つまりものが酸化しやすいということです。
鉄が酸化して赤錆をつくるのと同じです。つまり、土器が赤いのは土器自体が酸化した
からなのです(実際はもっと複雑だと思いますが)。このように酸素が充実した状態で
焼成を行うことを、酸化焔焼成(さんかえんしょうせい)といいます。
 一方、須恵器は野焼きではなく、登り窯で焼かれます。温度はおよそ1000度
といわれています。ただ途中までは土師器と同じように酸素が充実した状態で焼かれ
ます。しかし、焼成の途中で煙り出しの部分を閉じてしまいます。この時窯内は一酸化
炭素で満ちて、酸欠状態になっています。しかし、火は土器内の酸素を消費して、まだ
燃焼を続けようとします。このとき土器内の酸素が消費されることで酸化せず、さらに
高温で焼くことによって土器は鉄のような灰色になり、硬質になります。
このことを還元焔焼成(かんげんえんしょうせい)と呼びます。
また、この還元焔焼成は「焼き締め」とも呼ばれます。大地窯の作品はこの還元焔焼成
で焼かれているものもあります。

 さて、説明に少し怪しいところもありますが、なんとか古代までの土器をみてきました。
しかし課題はまだまだあります。作品を彩る釉(ゆう)はいかにしてできるのでしょうか。
さらに土器の製作技法はどのように発展して現在までに至るのでしょうか。
続きはさらに次の回でお話したいと思います。

by masa
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by oochigama | 2008-05-20 23:53 | やきもの講座
大地窯へのルーツ その1
 台風が近づいているようです。連休の晴れ晴れしさはどこへやら
梅雨前だというのに曇天が広がりしとしと雨が続きます。 
そんな中でも大地窯は次の展覧会に向け着々と準備をはじめています。
 さて、ここで少しやきものの歴史について少しお話したいと思います。
といっても私もかじった程度の知識ですから、調べ調べお話したいと思います。
大地窯へ繋がるルーツとはいかなるものなのでしょうか。

 日本で見つかる最も古いやきものが縄文土器です。およそ1万3000年前に登場
します。その後縄文土器から弥生土器へ弥生土器から古墳時代の土師器(はじき)
へと土器は移り変わっていきます。しかしこの土師器が直接大地窯の作品に繋がる
わけではありません。縄文土器から土師器すべてに通じる共通点は素焼きの土器で
あるということです。大地窯のような釉薬を使うやきものはいかに誕生したのでしょうか。

 古墳時代に土師器ともう一種類、須恵器(すえき)と呼ばれる土器が登場します。
須恵器の特徴は硬質で透水性がありません。色は灰色をしています。今の
陶器に近い性質を持っていますが、釉薬はかかっていません。
なので陶質土器と呼ばれています。この土器は日本古来の土器ではなく
朝鮮半島から伝わったとされていて、大地窯の作品もこの須恵器が遠いルーツに
なっています。しかし須恵器が日本に入ってきた後も土師器はなくなることなく、
併用されます。
 それは一つに用途の違いがあったからだと考えられます。縄文土器から続く
素焼きの土器は主に煮炊きに用いました。そして須恵器は祭具や貯水に用いた
と考えられています。素焼きの土器は貯水する機能を果たしません。しかし、
土器内に残る空気の隙間により、熱を受け土器が膨張してもひび割れることなく
煮炊き具として機能します。逆に須恵器はその緻密さゆえ水を通さず、貯水機能を
果たします。しかし逆に、熱を受けると膨張した際に空気の隙間がないため割れてし
まいます。
 同じ土器なのにどうしてこんな違いが生まれるのでしょう。それは土器の焼き方に
違いがあります。ここからは話が長くなるので、また次の回にお話したいと思います。

by masa
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by oochigama | 2008-05-10 22:33 | やきもの講座