カテゴリ:活動コラム( 41 )
本焼き ~急~
本焼きの日程も最終日を迎え、残すところ十数時間。
あとは今の温度を維持しつつ、器たちが焼きあがるのを待つのみとなりました。

温度が上がるにつれて、炎の色は橙から黄、さらに白黄へと変化していき
窯の口を塞いでいる鉄板を開けても、すでに窯の中の様子を窺い知ることは出来ません。

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しかし、熱と光に満たされた窯の中からは、何か新しい物が生まれようとするときの、
強烈な力や変化の兆しを確かに感じました。

午前4時を目前に、ここまで飲み物の補給や身の回りのお世話をしてくださっていた
先述のsaiさんが、朝からのお仕事の関係でお母さんとともに戦線離脱。

最大級の感謝をしつつ二人を送り出し、ここからが正念場、
なんとかうまく最後まで乗り切るぞと気合を入れなおした矢先。
今回の本焼きにおける最後にして最大の問題が発生しました。

これまで安定していた窯の温度が俄かに上昇し始めたのです。
薪の投入量を控えても温度はグングン上がっていきます。
1250、1255、1265、そしてついに1270℃をオーバー。

さらに悪いことに、ここにきてマツの残量が不足してくるというアクシデントが起きました。
火力を安定させるため、多めにマツを使ってきた結果、予想より早く薪置き場の底が
見え始めたのです。

このような進退窮まる状況で、「マツの確保を最優先させて、これからソロを混ぜて様子を見ましょう」とヴェロニカさんは打開策を打ち出します。ある程度の火力を維持しなければいけない今の状況で、ソロの木を使うのはあまり良くないのですが、背に腹は換えられないという苦肉の策でした。

が、このやり方が功を奏し、炎の大きさを維持しつつみるみる温度は下降。
1220℃付近で安定しだしました。

この難所を抜けたあとは至って順調。さしたる問題も起こらず時間が過ぎてきます。
温度が安定してきた頃合を見計らって、昨夜から応援に来てくれていたカメラマンのコエチ光彦さんも仕事の都合で離脱。こういう時、一人でも多く人がいると心強くなるということを実感します。

最後の工程として、灰を作品にかけて表面に模様を出すため、大量の薪を一気にくべる作業がありました。最後の仕上げとばかりにみんなで薪を勢いよく投げ入れます。

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そして最後の最後、窯が急激に冷えないように、空気が入りそうな穴をすべて専用の土で塞いでしまい、予定よりかなり早い9月9日午後4時45分、本焼きの工程がすべて終了。

これから一週間かけてじっくり窯を冷やしていきます。
それが終わり窯出しをするその時まで、中の作品がどうなっているかは誰もわかりません。

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しかしヴェロニカさんは言います。「今回は昨年の窯焚きにくらべ、天候、薪の状態、スタッフの人数、すべてにおいて勝っていた。このことは本当に運のいいことです」

本当に大変で、肉体的・精神的に疲弊しきった3日間でしたが、それを補ってありあまる充実感と達成感を得られた3日間でもありました。

あと一週間。沢山のものの手によって命を吹き込まれ、新たに生み出された作品が出てきてくれることを祈るばかりです。

by shoot
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by oochigama | 2008-09-12 00:56 | 活動コラム
本焼き ~破~
本焼きも2日目に入り、窯焚きの作業にもリズムが出てきました。
役割・休憩の交代もスムーズにいくようになり、窯の温度も順調に上がっていきます。
このまま無事に1200℃まで到達するのを祈るばかり。

しかしこのようにうまく作業が進んでいるのは、陰からのバックアップがあってのこと
だということを言っておかなければなりません。

たびたびこのブログに記事を書いているアシスタントのsaiさんが、
今回朝昼晩の3食を作ってくれたり、休憩の時の準備をしてくださっています。

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毎食栄養のバランスを考えて作られており、普通極度の疲労状態の時はなかなか食欲が出なくなるものですが、そんな状態でもすっと喉を通るようなメニューばかり。
味もしっかりしていて、本当に元気が出ます。
夕方からはsaiさんのお母さんも駆けつけてくれて、料理のボリュームもさらにアップ。

まさに及慈雨、恵みの雨のような存在で、saiさんのサポートが無ければ
誰一人この過酷な作業を続けることは出来なかったと言っても過言ではありません。

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また、近くで林業を営むFさんも手伝いに駆けつけてくれました。

Fさんは、薪を細かく割ってよく燃えるように大きさを調整してくださったのですが、
私がどんなに頑張って斧で叩いても割れない薪を、いとも簡単に真っ二つにしてしまいます。細かい薪を作ってくださったお陰で、温度の調整がかなり楽になりました。

このような強力な援護のお陰で、じわじわ窯の温度は上がっていき、
ソロの木からマツに切り替えてから約19時間経過した9月8日午前1時。
果たして1200℃に到達。

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この温度になると、窯の口を遮っている鉄板は熱で真っ赤に変色し、窯の周りは熱風がうずまく高温地帯になっています。

しかしヴェロニカさんはひるむことなく薪を窯口へ投げ入れ、
じっと炎の色を窺っていました。

そしていよいよ本焼きも佳境。高温を維持して最後の仕上げに入ります。


by shoot
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by oochigama | 2008-09-11 01:21 | 活動コラム
本焼き ~序~
こんにちは。本焼きを行うということで、東京から招喚されたshootです。

陶器製作の過程もいよいよ大詰め。
ヴェロニカさん以下窯焚きスタッフ一同、9月6日以降3日間のタイムスケジュール
を確認して、午後5時、本格的な窯焚き作業が開始されました。

一番最初に全員で木材を一本ずつ窯の中に投入し、今回の窯焚きの成功を祈願。
窯焚きがうまくいきますように…。

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今回使用する木材はソロの木とマツ。まずはソロの木を使い、
6日の午後5時から7日の早朝6時にかけて、600℃を目安として
漸次温度を上げていきます。

この大量の木材を燃料にし、窯は自らの体の中を燃やして陶器に命を吹き込んでいく。
そう思うと、この窯も私達チームの一員なんだなぁという気持ちになってきます。

作業は昼夜を問わず続くので、交互に休憩をとりながら
窯の温度を調整していくわけですが、仮眠をとり終わって交代してみると
寝る前に比べて窯の温度や状況が著しく変化していて、交代後うまく温度を上げられなかったり逆に温度を下げてしまったりと、引継ぎ時がなかなかうまくいかないという状況が出てきました。

ここが、複数人で窯焚きをする上で最も難しい部分の一つで、
「温度調整がうまくいっている時は、なるべく薪をくべる人を代えたくない。
だけど人間がやっている以上、長時間休まずに続けるのは難しい」
とヴェロニカさんは話します。

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暁を知らせる鶏鳴の聞こえ始めた午前4時。
400℃を境に、どうしても窯の温度が上がらなくなってしまいました。
今までと同じようにやってたのにどうして…。

しかしながら「ちょっと早いけどマツを使い始めましょう」というヴェロニカさんの機転により、私が仮眠を終えた午前8時すぎには無事600℃を越えていました。
マツはソロに比べて脂分が多く、火力が上がりやすいのです。

常に流動的な窯の状態に合わせて臨機応変な対応をすることこそ、
窯焚き成功には不可欠なことなんだなと実感する出来事でした。

でもこれで第一関門は突破。
薪置き場の上から見守ってくれていたヒメちゃんもホッと一安心。

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次は、さらに丸一日をかけて1250℃付近まで温度を上げていきます。
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by oochigama | 2008-09-10 02:02 | 活動コラム
素焼きの窯出し
こんにちは。8月だというのに寒い寒い日が続いています。
みなさま、体調崩されてはいませんか?
わたくしアシスタントsaiは少し風邪気味です・・。
なので8月なのにセーターを着ているという非常事態!

ところで素焼きが20日の15時から
夜中の1時までの10時間ほど行われました。
温度は600度前後で、
使用した薪はソロの木などです。
大地窯では大体年に一度しか窯焚きをしないので、
窯の中が湿気だらけになってしまい、
最初はしばらく火がつかず苦労したようです。

ちなみにバックで流れるラジオは北京五輪の実況中継だったらしく、
ヴェロニカさんは何の種目かよく分からなかったそうなのですが、
自分も応援されているような気がして元気が出たそうです。

・・そして、本日雨の中でしたが素焼きの窯出しを行いました。

レンガの蓋をあけると
”白州の土の器”は白く、
”棚頭の土の器”は明るい肌色から黒灰色に焼けていました。
器の置く位置によって随分焼け色に差があります。
素焼きはの段階ではまだ器はやわらかく、軽い衝撃で壊れてしまいます。
こうした器を運ぶ作業もとても緊張します。

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器を窯から出すところ

窯の中はサウナのようにまだ熱いです。

器は全体にぎゅっと引き締まりました。
今回の器たちは優しく、丁寧な印象をもちます。
また、縄文人や弥生人が使っていてもおかしくないような素朴な趣でもあります。

 
これから上薬が必要なものは塗ったのち、
いよいよ9月のはじめには一週間の本焼きに入る予定です。
炎をうけると、器の性質はガラリと変わるでしょう。
昨年は本焼き後、器が神々しく転生したようでした。


今回もどうかうまく焚けますように・・

大地窯ネコのヒメちゃん(右)、トラちゃん(左)にも窯焚きの成功を祈っていただきたいですね。

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by oochigama | 2008-08-24 21:47 | 活動コラム
いよいよ窯詰め
こんにちは、アシスタントのsaiです。
昨日の暑さとは一変して、本日はしとしと雨の降る寒い日でした。
まるで秋がもう来てしまったかのようなしっとりとした陽気です。

こんな日に、大地窯ではついに素焼きの窯詰めが行われました。
カンカン照りの暑さよりずっといいね、と語らいながら作業に取りかかります。

まずは草刈りから・・
大地窯の窯焚きは大体年に一度しか行われないこともあり、
窯のまわりも雑草だらけになっていました。

そこでは自分たちの歩くところだけを草刈りして、余計な草は刈りません。
自然のままの美しさを大事にするヴェロニカさんらしい行為です。


さて、いよいよ素焼きの窯詰めです。
ご存じの方も大勢いると思いますが、器は2回焼きます。
一度目が素焼きであり、低温(900度前後)で焼きます。
その後、素焼きで出来た器に上薬を塗って、もう一度焼きます。
これが本焼きです(1300度前後)


工房から窯まで器を運ぶ作業はとても緊張する仕事です。
道は雨で滑りやすくなっているので、なおさら気をつけながら抱えて行きます。

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(窯詰めをするヴェロニカさん)

幸い今回は作品数があまり多くなかったので、割合に早く出来ました。


器を窯に詰めたら、レンガでフタをします。
レンガのサイズは微妙な窯の口にピッタリ合うように複雑に出来ています。
レンガには詰めるとき配置を間違えないように、酸化銅を絵の具にして必ず順番を書いています。

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レンガを配置できたら、その上からセメントがわりの粘土で隙間を埋め、窯に空気が入らないようにします。


これで窯詰め完成です!

お疲れさまでした。

一週間後にひかえる窯出しで、どのように焼けているか楽しみです。

by sai
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by oochigama | 2008-08-17 23:18 | 活動コラム
「器で語ろう」を終えて
おはようございます。暑い日が続きますが皆様いかがお過ごしでしょうか。
昨日も、記録的な猛暑を記録する中で、阿佐ヶ谷は楽療術所にて
「器で語ろう」が開催されました。

昨日はごく少人数ではありましたが、器を囲んでの語らいを楽しむことができました。
器になぜ興味があるのか、どうして器を作ろう、使おうと思うのかという
ことに関しては参加した方々のそれぞれに思いがあり、どれ一つとして
重複することはありませんでした。
ただ「器を通して楽しみを知る」ということは皆さんのお話の中で共通すること
ではありました。
作って楽しむ、使って楽しむ、これはあたりまえのようなことかもしれませんが、
器は日常什器としての側面の他にも多様な顔をもつツールであることを改めて
実感することができました。
ですので、器を見て触れて、器の文様や重さ、厚み、色や手触り
あらゆることから話が広がっていきました。
このことから、とくにヴェロニカさんの器は想像性を掻き立てる多様性が
内在していることがよく分かりました。

一番印象的だったのは、器から始まった話が枝葉を分け違え、どんどんと
広がっていったことです。それも器とはほど遠く思える話に繋がったことです。
器から教育、教育から子育て、子育てから地域のこと、そしてまちづくりなど・・・
話は尽きませんでした。
しかし、それらの話には器が関連付けられていきました。
器作りを教育に、地域づくりにと具体的な話も出されるほどでした。
そして、最後には不思議と人の輪が出来上がっていました。

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ヴェロニカさんの器は人と人を結びつける不思議な力を持っているのだと
思います。それは、ヴェロニカさんの器の持つ多様性が人々の
心に作用するのではないかと思います。そして、その作用こそが、
ヴェロニカさんの器を通じた、土から人へのメッセージなのかもしれません。
主催した私もその場に引き込まれて主催者であるということを忘れて
楽しんでしましました。器の存在、器の持つ可能性について考えさせら
れるひとときでした。

最後に暑い中時間を割いてご参加くださった方々、場所を提供してくれた
叔母に感謝申し上げたいと思います。
このような催しを今後も継続して行っていきたいと思います。

by masa
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by oochigama | 2008-08-04 06:04 | 活動コラム
mixiはじめました
こちらでのご報告が遅くなりましたが、巷で噂のmixiのコミュニティを立ち上げました。blog同様展示会のお知らせなどもしていきたいと考えておりますので、未見の方はぜひご覧になってください。コミュニティ→http://mixi.jp/view_community.pl?id=2911844
by masa

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by oochigama | 2008-02-12 22:54 | 活動コラム
展示会へ向けて動き出す
2008年の大地窯の作陶展を行うギャラリーが、先日決定いたしました。
大地窯では基本的に年に一度しか窯焚きを行わないため、作陶展も年に1、2回程度しか行なっていません。あとは自宅のギャラリーでの展示販売となっています。
そのため、ギャラリー選びは大変重要な仕事でありました。

ヴェロニカさんの希望としては、なるべく多くの方に見てもらえるよう、場所は東京で、そしてギャラリーの雰囲気が作品に合っていて、さらにギャラリー周辺の環境も緑が多く、散歩して楽しいところを望んでいました。

そして今回決まったギャラリーは、そんなヴェロニカさんの思いとピッタリ合致するような、理想的なギャラリーなのです!

展示会は9月を予定しているので、詳しい情報はまた後ほどお知らせ致します。
それではみなさま、まだ先の話ではありますが、お楽しみに!

写真は大地窯の登り窯です。

by sai
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by oochigama | 2008-01-22 21:57 | 活動コラム
大地窯の小さな展示会のお知らせ
現在、東京の狛江にあるカフェ「茶茶」(ささ)にて、
大地窯の器が展示、販売されています。
また同時に、大地窯専属写真家である
コエチ光彦さんの写真も展示されています。
2008年の一月半ば頃まで展示される予定ですが、
その後も引き続き展示していただけるかもしれないそうです。
詳細はまだ不明なのですが、とりあえずのご報告をいたします。
狛江近辺にお立ち寄りの際はぜひ、お寄りください!
狛江近辺に用事のない方も、ふらりとお立ち寄りいただければ幸いです。
美味しいお料理と大地窯の器、コエチさんの写真がお待ちしております!
by sai


*cafe 茶茶*

狛江市東和泉2-3-13 2F 
Tel/Fax (03)3480-0534
photo by コエチ光彦

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by oochigama | 2007-12-23 22:11 | 活動コラム
2007年 大地窯展「Homage 4 ー 富士山へー」
みなさま、はじめまして。
大地窯アシスタントのsaiと申します。
このブログを通して、大地窯の活動をより多くの方に知っていただければ幸いです。
今後とも、どうぞよろしくお願い致します。

それではまず、2007年7月に調布の深大寺で行われた、
大地窯展「Homage 4 ー富士山へー」についての記録をお伝え致します。

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深大寺は豊かな自然に囲まれ、美しい水がこんこんと湧き出る、
まさに「東京のオアシス」、といえる素晴らしい場所です。
写真は展示会場である、「ギャラリー曼珠苑」です。
緑に囲まれた、明るいお蔵のような趣ある建物です。
天井は高く、大きな窓から光がふりそそぎます。
床は小さな木のブロックをたくさん敷いていて、
歩くたびにブロックが少し動き、コロコロとかわいらしい音がします。
ほんとうに、環境も建物も申し分のない場所で展示が出来て良かったと思います。

展示期間中には、たくさんの方に来て頂きました。
多くのお客様が器を手に取り、じっくりと器と対話してくれたように思います。
それも大変嬉しいことでした。
会場の雰囲気も、とても良かったと思います。

さらに、曼珠苑ギャラリーのすぐ側には、「喫茶 曼珠苑」というホッとなカフェもございます。美味しいコーヒーに、素朴な甘さの小豆煮も美味です!
ぜひぜひ深大寺にお越しの際には、お立ち寄りください。
(喫茶曼珠苑 連絡先042-487-7043)


改めまして、展示会に来て頂いたお客様に感謝の意を申し上げたいと思います。
どうもありがとうございました。
来年の展示会も、どうぞご期待くださいませ!
by sai
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by oochigama | 2007-12-14 00:55 | 活動コラム