本焼き ~急~
本焼きの日程も最終日を迎え、残すところ十数時間。
あとは今の温度を維持しつつ、器たちが焼きあがるのを待つのみとなりました。

温度が上がるにつれて、炎の色は橙から黄、さらに白黄へと変化していき
窯の口を塞いでいる鉄板を開けても、すでに窯の中の様子を窺い知ることは出来ません。

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しかし、熱と光に満たされた窯の中からは、何か新しい物が生まれようとするときの、
強烈な力や変化の兆しを確かに感じました。

午前4時を目前に、ここまで飲み物の補給や身の回りのお世話をしてくださっていた
先述のsaiさんが、朝からのお仕事の関係でお母さんとともに戦線離脱。

最大級の感謝をしつつ二人を送り出し、ここからが正念場、
なんとかうまく最後まで乗り切るぞと気合を入れなおした矢先。
今回の本焼きにおける最後にして最大の問題が発生しました。

これまで安定していた窯の温度が俄かに上昇し始めたのです。
薪の投入量を控えても温度はグングン上がっていきます。
1250、1255、1265、そしてついに1270℃をオーバー。

さらに悪いことに、ここにきてマツの残量が不足してくるというアクシデントが起きました。
火力を安定させるため、多めにマツを使ってきた結果、予想より早く薪置き場の底が
見え始めたのです。

このような進退窮まる状況で、「マツの確保を最優先させて、これからソロを混ぜて様子を見ましょう」とヴェロニカさんは打開策を打ち出します。ある程度の火力を維持しなければいけない今の状況で、ソロの木を使うのはあまり良くないのですが、背に腹は換えられないという苦肉の策でした。

が、このやり方が功を奏し、炎の大きさを維持しつつみるみる温度は下降。
1220℃付近で安定しだしました。

この難所を抜けたあとは至って順調。さしたる問題も起こらず時間が過ぎてきます。
温度が安定してきた頃合を見計らって、昨夜から応援に来てくれていたカメラマンのコエチ光彦さんも仕事の都合で離脱。こういう時、一人でも多く人がいると心強くなるということを実感します。

最後の工程として、灰を作品にかけて表面に模様を出すため、大量の薪を一気にくべる作業がありました。最後の仕上げとばかりにみんなで薪を勢いよく投げ入れます。

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そして最後の最後、窯が急激に冷えないように、空気が入りそうな穴をすべて専用の土で塞いでしまい、予定よりかなり早い9月9日午後4時45分、本焼きの工程がすべて終了。

これから一週間かけてじっくり窯を冷やしていきます。
それが終わり窯出しをするその時まで、中の作品がどうなっているかは誰もわかりません。

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しかしヴェロニカさんは言います。「今回は昨年の窯焚きにくらべ、天候、薪の状態、スタッフの人数、すべてにおいて勝っていた。このことは本当に運のいいことです」

本当に大変で、肉体的・精神的に疲弊しきった3日間でしたが、それを補ってありあまる充実感と達成感を得られた3日間でもありました。

あと一週間。沢山のものの手によって命を吹き込まれ、新たに生み出された作品が出てきてくれることを祈るばかりです。

by shoot
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by oochigama | 2008-09-12 00:56 | 活動コラム
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